お墓の専門業者に相談に訪れたBさんは、自分の母方の実家に後継ぎがいないため、そこのお墓を代わりに引き継いでいます。
そこは本家と分家が同じお墓に入っており、Bさんの母方の先祖が3人入っています。
しかも当時は土葬であったため、墓石はありますが土を盛り上げただけという形になっています。
しかし周りの他のお墓はほとんど火葬のため、玉砂利などを敷いて整地してあるあり、Bさんは自分のお墓も建て直し、また本家と分家それぞれに分けたいと考えています。
そこでここでは、一度土葬した遺骨を掘り起こし、改めて新しいお墓に埋葬するためには、どんな手順が必要なのかについて見ていきたいと思います。
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そもそも土葬とは?
現在は一部地域でしか土葬は行われていませんが、昔は火葬より土葬が一般的でした。
土葬とは、亡くなられた方を火葬せずに、そのまま地面に埋葬する方法です。
日本国内でも、地方によっては現在も土葬が行われていますが、ほとんどの地域で禁止されている埋葬方法となっています。
昭和初期頃まで土葬をするの一般的あったため、Bさんのようにご先祖様が土葬されているというお墓は結構多く、 土葬してある骨を掘り起こして新たなお墓に移したいという声も多いようです。
しかし、一度土葬した骨を掘り起こすことは可能なのでしょうか。実は手間はかかります、一度土葬した骨を改葬することは可能です。
そこで以下では、その手順について詳しく見ていきます。
土葬した骨を改葬する手順とは?
①改葬許可申請をする
まずは改葬許可申請の手続きを行います。手続きの流れとしては、まず始めに、改葬先の墓地霊園の管理者に受け入れ証明書もしくは墓地使用承諾証を発行してもらいます。
次に、現在のお墓がある墓地霊園の管理者から埋葬許可書または納骨明細書を発行してもらいます。
その後、各市区町村の役所にて発行される改葬許可申請書に必要事項を記入します。その際には、現在の墓地や霊園の管理者の署名捺印が必要となります。
記入が全て終わったら上記3種類の書類を持って役所に提出し、改葬許可証を発行してもらいます。
②閉眼供養をして遺骨を取り出す
閉眼供養は魂抜きとも呼ばれており、新しいお墓に魂を納めるために、現在のお墓に宿っている魂を抜き取るための供養のことを言います。閉眼供養を行った後に遺骨を取り出します。
③遺骨を火葬する
閉眼供養が終わったら、新しいお墓に納骨するために掘り起こした遺骨を火葬します。
ただし、取り出した遺骨は勝手に火葬することはできないので、現在のお墓がある市区町村の役所に火葬許可証を発行してもらいましょう。発行してもらった火葬許可証は火葬場に提出をします。火葬許可証は遺骨を受け取る際に返されます。
④土葬の場合の火葬での流れとは?
土葬の改葬の場合は通常の火葬と違って、肉体のない遺骨のみの火葬を行うことになります。
そのため土葬の場合の火葬は、通常の火葬とは流れが少し異なっています。
そこで以下では、土葬後の火葬の流れについて詳しく見ていきます。
▪洗骨する
通常の火葬との一番大きな違いは、この「洗骨」という作業があることです。土葬した遺骨には、湿気や細菌、土の汚れなどがついていますので、そのまま火葬場に持ち込むことが出来ません。そのため洗浄し、しっかりと乾燥させてから火葬を行う必要があります。そのため日にちがかかる場合が多いようです。
どれくらいかかるのかによって、火葬場の予約を取る必要もありますので、洗骨を行う専門の業者と火葬場との綿密な打ち合わせが必要になってきます。
▪火葬を行い、骨上げを行い骨壺に収める
通常の火葬と違い、骨の状態から火葬を行います。遺骨は通常より小さくなっていますので慎重に扱いましょう。
▪遺骨を供養する
掘り起こして改めて火葬してもらった遺骨は、別のお墓に改葬するなどして供養しなければなりません。
お墓を改葬し別の場所にお墓を建てるには改葬許可証が必要です。
この許可証が無いと新たに確保したお墓の管理者に遺骨を受け入れてもらえないので注意しましょう。
まず新たな墓地の管理者から「受入証明書」を発行してもらいます。この「受入証明書」を持って掘り起こすお墓のある各市町村の役場に行き「改葬許可申請書」をもらい、改葬の理由など必要事項を記入します。
次にこの申請書を持って今度は掘り起こすお墓の管理者の所に行き、署名・捺印をもらい「埋葬証明書」を発行してもらいます。
この「埋葬証明書」と「改葬許可申請書」を持って再びお墓のある市町村の役場に行き、はじめて「改葬許可証」が発行され、ここでやっと新たな墓地に遺骨を埋葬することが出来るです。
あとは基本的に新たにお墓を建てる時とすることは同じです。石材店に新たに購入した墓石を設置してもらい、日取りを決めて菩提寺の住職に墓前で墓石に魂を入れてもらうために開眼供養を執り行い、その後納骨します。
土葬の改葬でかかる費用
相談者Bさんは遺骨を掘り起こして改装する際にどのぐらいお金がかかるのかも心配しています。
お墓の専門業者によると、お墓を建てるには「公営霊園あるいは寺院墓地の場合、3平米、畳二畳ぐらいの広さでだいたい150万円ぐらい」となっています。
しかしその他にも遺骨を掘り出す場合や閉眼供養のお布施などさまざまな費用がかかります。
そこでここからは、土葬の改葬の際にかかる費用について詳しく紹介していきます。
①遺骨を掘り出す費用
まず、土葬の改葬を行う場合、遺骨を掘り出す作業の費用がかかります。遺骨を掘り出すには一体につき、約5万円~10万円の費用がかかります。
②閉眼供養のお布施代
閉眼供養のお布施代としては、約3万円~10万円が相場となっています。
ただし、閉眼供養のお布施代は宗派や地域によって異なりますので注意してください。
③火葬代
通常の葬儀であれば、遺族の方が待つための場所が必要となるため、費用がかかることが多いですが、改葬の場合は火葬だけの利用ですので通常の葬儀のように金額がかからない可能性があります。
公営の火葬場であれば、地域によっても変わってきますが約2万円で火葬が可能な場合もあります。
④改葬先でかかる費用
新しいお墓を建てる場合には墓石代と設置費用がかかります。一般的には約100万円~200万円が相場とされています。
永代供養も視野に
Bさんには2人の娘がいますが、二人とも他家へ嫁ぎ跡取りがいないため、将来的にはお墓を永代供養しようと考え、菩提寺の住職にも「永代供養というのも選択肢の1つだよ」アドバイスされています。
永代供養とは、お墓参りをしてくれる人がいない、またはお墓参りに行けない方に代わって、寺院や霊園が管理や供養をしてくれる埋葬方法のことを指します。
ただ、永代といっても、未来永劫という意味ではなく、遺骨の安置期間には一定の期限が設けられています。一般的には、33回忌までを期限とするところが多いようです。
ただし特に決まりはなく、各寺院や各霊園によって17回忌、33回忌、50回忌、または相談で決めるなどバラバラなので、事前にしっかり確認するようにしましょう。
永代供養にかかる費用は、納骨の方法や供養の内容などによって異なります。数万円~数百万円までと、かなり差があるようです。
ちなみに東京都内で永代供養をする場合、50万円前後~数百万円ほどかかると言われています。地域差もあるようで、東京は比較的割高のようです。
また、永代供養の施設には、大きくわけて「屋内型」と「屋外型」があります。
屋内型は「納骨堂」と呼ばれるもので、ロッカー型や可動収納型など、さまざまなタイプがあります。
見た目は墓地とは異なりますが、家系代々のご遺骨を収蔵するなど、通常の墓地と同じ機能を果たします。
屋外型には、故人ごとに施設に遺骨を安置する納骨壇型、塔の地下に遺骨を納める納骨塔型、遺骨をまとめて埋葬する合祀型の3つがあります。
永代供養に変更する手順とは?
一般のお墓から永代供養に変更する場合は、以下のような手順が必要となります。
そして、各手続きの中には書類が必要となる場合もあるので、しっかりと把握しておきましょう。
①元のお墓のある墓地との手続きを行う
まず、元のお墓のある墓地の管理者に対し手続きを行います。手続きする際には管理者に永代供養への変更に至った事情などを説明し、許可を得る必要もあります。
管理者の方の理解を得たら、埋葬証明書を発行してもらいましょう。
②元のお墓からご遺骨を取り出す
墓じまいの際には閉眼供養と呼ばれる、それまでのお墓から故人の魂を抜く儀式を行う必要があります。
閉眼供養を通じてお墓は魂を祀る役目を終えることになり、とても重要な儀式となるので、事前に菩提寺などの僧侶の方や石材店の方に依頼しておく必要があります。
閉眼供養が終わった後、お墓からご遺骨を取り出すことができます。なお、遺骨を取り出す作業も安全性の面からなるべく石材店の方にやってもらった方がよいでしょう。
新しい永代供養のお墓に納骨する
最後に新しい永代供養のお墓への納骨を行います。まず、受け入れ先の墓地や霊園の管理者に改葬許可証を提出し、受入証明書も提示します。
そして、納骨に先立って納骨法要を行います。ちなみに永代供養墓が個別墓の場合は開眼供養も必要です。これらの儀式の後で実際の納骨が行われます。
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