80代のBさんには長男と長女の二人の子供がいます。
どちらも結婚しているものの長女は他家を嫁いでおり、長男夫婦には子供はいません。
またBさんの菩提寺は自宅から離れた場所にあるため、今後のことも考え、永代供養して自宅の近くにお墓を移すことを検討しています。
そこでここでは、永代供養してお墓を移す場合、それぞれどんな手続きが必要なのか、また費用はどれぐらいかかるのかなどについて、見ていきたいと思います。
Contents
永代供養とは?
永代供養とは、お寺や霊園が遺骨を預かり、供養や管理を行ってくれる供養方法のことです。
近年では、Bさんのようにお墓の管理継承者がいないといった理由から、このようなお墓を持たない供養方法を選択する方が増えてきています。
ただし、永代供養は依頼先によって供養期間や管理方法が違っています。「永代」に渡り供養してもらえない場合や、遺骨の管理のみで供養まではしてもらえない場合があるため注意が必要です。
改葬して永代供養する場合の手続きとは?
①永代供養先を見つける
このように改葬を希望する場合は、まずは永代供養先を見つけることが重要です。それと同時に、今あるお墓の管理者に墓じまいをする旨を伝えます。
②改葬許可証を準備する
基本的には必要な書類は改葬許可証だけです。ただしお寺や霊園に確認を取る必要があります。
遺骨を今あるお墓から違うお墓に移す場合は、改葬許可証が必要となりますので、現在お墓のある市区町村から交付を受けましょう。
そこに必要事項を記入して、お墓の管理者から印をもらいます。これを市区町村に提出して、不備がなければ改葬許可証が交付されます。
また墓じまいをした際には、お墓のあった土地を更地に戻す必要がありますので、改葬許可証に印をもらう前に必ず相談しておきましょう。
墓じまいをするのに必要な手続きはお寺にお墓によって違いますので、処理方法や必要事項などをあらかじめきちんと確認しておきましょう。
そうしないと後にトラブルにつながる可能性もあるので十分注意してくださいねわ、
③閉眼法要を行う
お墓から遺骨を取り出し、お墓を処分するためには閉眼法要が必要ですのでお墓のあるお寺に依頼をしましょう。
またお墓のあった土地を更地にしないといけないので、石材店へ依頼して墓石の撤去と処理のお願いします。
お寺によっては指定の石材店がありますから、指定があるかどうかも確認しておいたほうがようでしょう。
④移転先に遺骨を移す
お墓なら取り出した遺骨は、すぐに永代供養先に移さなくても問題ありません。
永代供養先が見つかった、改葬許可証を提出します。遺骨を納めたら永代供養証明証を頂き、一連の手続きは終了となります。
移転先により手続きが異なる場合も
お墓の専門業者に相談に訪れたBさんは、実は市営墓地にお墓を移すことも考えています。
実は永代供養先にも市営墓地や民営墓地、お寺などのさまざまな種類があります。
①民営墓地
公営の永代供養墓地よりも金額は高くなってしまいますが
金額が比較的安く、競争率も低いのがメリットですが、民営ですからいつ経営が滞るか分からないというデメリットもあります。ません。
ですから民営の墓地を選ぶ際には、なるべく経営状態についてもチェックしおいたほうが良いと言えるでしょう。
②公営墓地
市営墓地などの公営墓地は、都道府県、市区町村などの地方公共団体、自治体が管理、運営しています。
また、自治体から委託された企業や財団法人などが管理や運営を行っている場合もあります。
自治体またはそれに準ずる機関が管理運営をしているため、他の墓地と比較して、倒産や閉鎖などの危険性は少ないといわれています。
合併などで自治体がなくなった場合にも、新しい自治体が経営を引き継いでくれる仕組みとなっています。
公営霊園の主な運営資金は税金であり、この他にも公霊墓地の使用者からの使用料、管理料などで成り立っています。
また宗教や宗派は問わないので、どのような宗教を信仰していても制約なく利用できるのは、公営墓地の大きな特徴であると言えるでしょう。
③寺院墓地
寺院にある墓地は管理が行き届いていると言う安心感がありますが、お寺によっては永代供養するとなると檀家になる必要がある場合があります。
そうすると、年に一度御布施を必要としたり、供養ごとに御布施をしないといけない可能性があります。
お寺の方針さまざまですので、事前にお寺に行き、じっくりと話を聞いておくとトラブルを回避することができますよ。
事前に親族からの了解を得ることも大切
Bさんの場合、今後お墓をどうするか息子さんには少し相談しているようですが、親族に相談するところまではまだ至っていないようです。
永代供養は、まだ世間一般に認知しているとは言えないため、親族に理解を得られないケースも考えられます。
特に昔からお墓を守ってきた方、お墓のある寺院の宗派に対して信仰心が厚い方などは、永代供養を否定的に捉えている方も少なくありません。
理解が得られない場合は慎重に話し合いを行う必要があります。しかし、いくらお墓を守る必要があると言っても、後継者がいなければ守ることはできません。
そういった場合は、どうしても永代供養に頼らなければいけないことを十分に説明して説得するようにしましょう。
永代供養にかかる費用は?
相談者Bさんは、永代供養やお墓を移す際に多額の費用がかかるのではないかと心配しています。
永代供養にかかる費用は、基本的な料金が10万~150万円、中にはそれ以上かかるケースもあります。
基本料金が50万円未満のところも多いようですが、さらに追加費用がかかる場合もあります。
また都市部などの場合は、改葬費用は現在のお墓の撤去、移転先の墓地の使用料、墓地の工事などを合わせて、全部で200万~300万円程度かかるようです。
そこでどれだけの費用がかかるのか、具体的な費用の内訳を詳しく見ていきたいと思います。
①墓石の撤去代
墓石を撤去する際には墓石の撤去代がかかります。墓石の撤去にかかる費用はだいたい1平方メートルあたり5~10万円が目安となっています。
しかし、お墓が重機が使えないような場所にあるために解体に時間がかかったりと割増料金がかかることもあるようです。
また、墓石の数や大きさにより、かかる費用も異なります。そのため、後から高額な金額を請求されないためにも業者にきちんと現地を見てもらった上で見積もりを出してもらう方が安心です。
②お墓を更地に戻す費用
墓地は更地に戻して墓地管理者に返還する必要があります。墓地を更地に戻す費用の目安は1平方メートルあたり5~20万円となります。
境界石や外柵、植木などの付属品などを全て撤去するわけですが、これらの大きさや形状によっては追加料金がかかる場合もありますので、きちんと確認しておきましょう。
③お布施代
墓石を撤去する際に、仏式では閉眼供養を行います。閉眼供養とは、墓石に宿った仏様の魂を抜くための儀式で、墓前で僧侶に読経してもらいます。
閉眼供養を行う際、僧侶にはお布施を包みます。このお布施代の費用の相場は1~3万円くらいとなっています。
④離檀料
離壇料とは、お寺にお墓がある場合に、他の場所にお墓を移して檀家をやめる時に支払うお布施です。
離壇料はあくまでお布施ですので、決まった金額はなく、お気持ちによることが多いです。
しかし「お気持ちで」と言われても、どれくらいの金額を支払えばいいのか悩むところですよね。
一般的には、1回の法要で支払う金額と同じくらいの1~10万円程度となっています。
しかし、地域差や、檀家としての格や家柄、お墓の大きさ、これまでのお寺との付き合いによっては、もっと高額な金額を支払うこともあります。
檀家総代などにも相談して適当な金額を判断しましょう。
⑤墓石の移動費用
現在の墓石を移転先に持ち込む場合には、墓石の移動費用もかかります。墓石の移動費用の相場は20~80万円です。
⑥新しい墓石代
お墓の移転先で新しい墓石を用意する場合には、新しい墓石代の費用がかかります。一般的な墓石だと、費用は基礎工事を含めて120~150万円程度必要です。
新しい墓石を選ぶ際には、移転先の気候や風土、地質なども考慮する必要があります。お墓に使われる石の種類は約300種あるといわれています。
その中でご自身の予算に合った、耐久性のある移転先の風土にあった墓石を選ぶようにしましょう。
ただし、移転先に墓石を持ち込む場合はこの費用はかかりません。
⑦永代使用料
永代使用料とは、お墓の土地を使用する権利を取得するために必要となる費用であり、全国平均は約70万円となっています。
永代使用料の相場は、墓地の大きさや地価によって大きな差があります。都心で土地の価格が高い場所に移転するのであれば、もっと高い永代使用料が必要になります。
反対に、郊外の土地の価格が安い場所に移転するのであれば、永代使用料は安くなっています。
また、一旦納めた永代使用料は原則返ってきません。その墓地を使わなくなったからといっても、永代使用料は返金されないことがほとんどですので注意しましょう。
また「永代」といっても、この権利は子孫へ永代に保証されているわけではありません。
墓地所有者との契約にすぎないので、ルール違反をすれば使用する権利を取り消される場合もあります。
このことを理解した上で、移転先の墓地を選ぶ時には墓地の使用規則の取り消し条項をきちんと確認するように注意しておきましょう。
⑧お布施代
お墓を新しい場所に移した際に、仏式では開眼供養を行います。開眼供養とは、閉眼供養とは反対に墓石に仏様の魂を迎え入れる儀式です。
僧侶をお呼びしてお経をあげてもらうため、僧侶にお支払いするお布施代が必要となります。
開眼供養のお布施の費用の相場は1~3万円です。だいたい閉眼供養と同じくらいの費用がかかると考えていれば良いでしょう。
また多くの場合、納骨もあわせて行われます。石材店が納骨作業を行い、その費用は3万円程度かかりますので、この費用も一緒に用意しておく方が良いでしょう。
⑨入檀料
移転先がお寺の場合、入壇料が必要になります。入壇料とは、そのお寺の檀家になる際に支払うお布施で、入会金のようなものですから毎年支払わなければならないというものではありません。
一般的な入檀料の費用の相場は10万円程度ですが、お寺が大きいと30万円程度必要になることもあります。
また、改修工事などで檀家から寄付負担金を受け取っているお寺は、寄付金負担金相当額を入壇料とする場合もあります。
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