お墓の名義変更で必要な書類や手続きについて

お墓の問題について

Aさんは、お墓の専門業者にあることで相談に訪れました。Aさんは4人姉妹の長女で、父親が亡くなった時には葬儀の喪主を務めました。

その後お墓を今後誰が継ぐのか、またどうしていくのかについて相談しようとしましたが、妹達はそれぞれ遠方に住んでいるため、なかなか思うように意思の疎通ができません。

Aさんには男の兄弟はいなく、Aさんも妹達もそれぞれ嫁いでいます。また子供がいなかったり、いても一人娘であったり結婚していなかったりと、事情はさまざまで今後このお墓を継いでいくのはなかなか難しい状況にあるようです。

そこでここではお墓は誰が継承するべきなのか、また必要な手続きなどについて詳しく見ていきたいと思います。

 

お墓は誰が承継するの?

日本の法律では、お墓の承継者や相続の手続きについては明確に定められていません。

お墓は、法律上祭祀財産に分類されるため、一般的な財産とは扱いが異なっています。

ですからお墓を受け継いだ方は、特に法律上は届け出の必要はありませんし、家や土地などの財産とは異なり、相続税なども発生しません。

故人が承継者を指定していればその方が相続し、特に指定された方がいない場合は慣習に従って相続する場合が多いようです。

また慣習も分からなければ、家庭裁判所が決めるということもあるようです。

 

一般的には長男が相続することが多い

お墓の相続は故人の指定がなければ慣習によって決まりますので、その家の長男がお墓を相続することが一般的なようです。

墓地の管理規則などでも、お墓の相続人は3親等以内などと定められているケースが多いようです。

ただし、お墓の相続人は基本的に誰でもなれますし、Aさんのように姉妹で長男がいないという場合は、遺族の話し合いで、娘が引き継ぐという場合もあります。

 

お墓の永代使用権を引き継ぐのは一人だけ

お墓に対する権利や義務を負う方、つまり永代使用権を引き継ぐ方は、法律上では1人だけ、つまり相続人だけということになっています。

永代使用権とは、お墓を家が続く限り使用できる権利のことです。

ただし、墓地使用者の名義変更をしなかったり、管理費を滞納したりすると永代使用権を失ってしまうこともあります。

さらにお墓がお寺にある場合は、墓地管理費に加えてお布施を納めたり、定期的な行事に参加する義務もありますので注意が必要です。

 

お墓の相続に必要な手続きとは?

それでは、お墓を相続するためには、どんな手続きが必要なのでしょうか。以下で詳しく見ていきたいと思います。

 

①お墓を相続したら「名義変更」が必要

永代使用権を相続するのに書類などの手続きは不要ですが、墓地の管理者に対する名義変更の届出は必要となります。

墓地の名義人とは、墓の使用許可申請書などに使用者として届け出た方のことをいい、お墓を故人から相続人に変更する場合は手続きをしなければなりません。

 

②名義変更は墓地の管理事務所でする

お墓を引き継いだら、墓地の管理事務所に届け出をして名義変更の手続きをします。

その際には、遺言書など墓地の管理事務所にお墓を承継した旨の書類を提出し、受入証明書をもらって名義変更の手続きを行います。

墓地によっては届け出の期限が決まっている場合があるので、お墓の承継者が決まったら早めに墓地の管理者に問い合わせましょう。

 

お墓の名義変更に必要な書類は?

墓地使用者の名義変更手続きに必要な書類は、墓地や霊園によって異なります。

また手数料などもそれぞれ違っているので、必要な書類が分からない場合は墓地の管理事務所へ連絡して、必要な書類や手数料などについて確認しましょう。

代表的なものは以下の通りとなっています。

 

①墓地の管理者からもらう書類

・名義変更申請書
・墓地使用許可証(永代使用許可証)

 

②区役所や市役所などでもらう書類

・旧名義人の死亡が記載された戸籍謄本
・受け継いだ方の本籍が分かる戸籍謄本・住民票
・受け継いだ方の印鑑登録証明書

また承継者の実印や名義変更にかかる手数料や年間管理費も必要となります。

 

生前に名義変更手続きする場合は?

生前の名義変更しお墓を承継することは、墓地使用権の譲渡や転貸との区別があいまいになってしまう可能性があるため、公営・民営を含めてほとんどの墓地や霊園で禁止されています。

ですから生前承継を考えている場合は、墓地や霊園に確認しましょう。

 

お墓を移転するまたは撤去する場合は?

今回のご相談者様の場合、お墓にはAさんの父親をはじめ、親兄弟など先祖代々の遺骨が埋葬されていました。

しかし父親が生きていた頃からお寺との折り合いが悪く、父親や祖父は住職のことをあまりよく思っていなかったふしがありました。

そこでAさんは、お墓を永代供養にすることや、墓じまいすることも考えているようです。

墓じまいとは、今の場所からお墓を撤去することを言います。墓じまいをする場合は、お墓を片づけて更地にし、お寺や墓地・霊園の管理者に敷地を返さなければなりません。

最近は「墓参りをしてお墓を守る人がいなくなった」という理由で、墓じまいを考える方が増えているようです。

また、お墓から遺骨を別の場所へ移動させることを改葬と言います。

遺骨の移転先としては、近くの墓地に新たに建てたり、永代供養墓や、石材店や寺院が運営する納骨堂などにお墓を設ける場合が多いようです。

Aさんの住んでいる都道府県では、地域にもよりますが遺骨の埋葬方法はさらしし袋に巻いて入れているケースが多く、他にも瓶のようなものに入れている場合も多いようです。

ですから遺骨の移動は慎重に行わなければならず、改葬は専門業者や石材店などに依頼した方がよいでしょう。

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